2006/07/18

蚊帳の思い出

今住んでいる都会の夏の夜は、防犯上、窓を開けて寝ることはできず、締め切ってクーラーをかけて寝ている。
実家にいたころは田舎だった上にクーラーというものがなかったので、窓は網戸だけにして、扇風機に当たりながら寝ることが多かった。
夏休みに祖父母の家に行った時は、古い日本家屋であったため、窓を開けて寝ると蚊がたくさん入ってきた。祖父は私たちのために、畳敷きの和室に四角い蚊帳を吊ってくれた。はじめて見たあの古い蚊帳の、緑色のドレープがかかった、やや重たさを持つ姿や、蚊帳をとおして見た、ぼやけた明かりのふしぎさ、蚊帳のすそをめくってすばやく這い入るおもしろさは、今でもよく覚えている。
阪神大震災のときに、それまであった祖父母の家は全壊してしまったため、今ではきちんとサッシの入った新しい家になった。蚊が入ってくることはなくなったが、あの蚊帳も、それから見ることはなかった。

本当は、クーラーよりも扇風機や夜風にあたって寝るほうが好きなので、「窓を開けて蚊帳を吊って寝る」ことは、今では憧れに近くなっている。
マンションでは蚊帳を吊る金具をつけることもできない。
そもそも、今でも蚊帳は作られているのだろうか?と思い、調べてみた。

植田蚊帳株式会社

「読み物」のところに、
 蚊帳生産のピークは昭和40年頃までで、奈良市近辺の生産業者は約70社にものぼり、年間約200万張を製造、全国シェアは80%を誇った。現在も地場産業と呼ばれてはおり、製造業者は奈良市内にわずかに残ってはいるが、珍しい存在となってしまった。

とある。
ピークの「昭和40年ごろ」といえば、もう40年も前のことだ。もしかするとそのあたりから、日本の「家」のつくり自体が、蚊帳を必要としないものへと変わってきたのかもしれない。

上記の蚊帳専門店では、「幌蚊帳」という、吊らないタイプの蚊帳も売られているようだが、これのもっともっと小さいものが、昔、台所で作り置きの料理の上にかぶせられていたような気がする。。料理になった気分になりそうだなーと思う。

そのほか、蚊帳情報の参考。
Wikipedia - 蚊帳


0 件のコメント: