2007/06/14

先輩としての悩み

ねこたんは、今年で入社7年目。会社では「中堅」といわれる層になった。
7年目とはいえ、今、身近にいる後輩は1人(5年目)だけで、あとは大先輩ばかり。その後輩が新入社員だったときに、最初のOJTを担当したこともあって、よく質問を受けることがある。

ねこたんには、いつも気になっていることがあった。それは、後輩から受ける質問の内容についてだ。
一つ一つの質問はすべて異なるものなのだが、根っこが同じ質問が多いのである。

ねこたんが働く部署で扱うのは業務用のパッケージソフトで、アプリケーションサーバとDBサーバの2つのサーバ上で稼動し、PCからはブラウザを使って業務アプリケーションにログオンするものだ。
2つのサーバにTelnetやFTPツールで接続したり、データベース開発ソフトでDBへ接続したり、画面開発ツールから2つのサーバに接続したりすることがある。
その後輩からの質問は、それら接続設定画面で発せられるものなのだ。

設定内容は、ユーザIDと、パスワード。
ねこたんたちの業務で登場するこの組み合わせは、3通り存在する。

1.アプリケーションサーバ/DBサーバに接続するためのもの
2.DBに接続するためのもの
3.業務アプリケーションにログオンするためのもの

後輩は、これら3つの区別があまりついていないようなのだ。DBに接続するのに、業務アプリのログオンIDを使ったりして、「接続ができないのですが・・・」という質問が出るのである。
区別がついていないというよりも、PCから先の、サーバの部分についてはブラックボックスになっているように思える。入社前はあまりコンピュータに触れる機会がなかったようであるし、その後、開発なども少しだけ経験しているのだが、それでもシステムというものの基本的な仕組みをよくわからないままに、ここまで来てしまったように思う。
これまで、質問を受ける都度、「今、何に接続しようとしているのか理解してる?」と訪ねながら回答したりしていたのだが、しばらくするとやはり同じような質問が出るのである。

ねこたんがいる部署には、業務系のメンバーと、開発系のメンバーがいて、ねこたんと後輩は業務系。業務アプリとしてエンドユーザに見える部分の動作・設定・オペレーションや、業務知識を中心にスキルを伸ばしていくメンバーなので、PCの向こう側の部分は、知らなくても何とかなってしまうことも一因かもしれない。

とにかく、ねこたんは、根っこが同じ質問を5年たった今も同じ後輩から受けている。
そのことが、すごく気になっていた。
5年前の入社直後、OJTをしたときに、なぜ私はここをしっかり教えなかったのだろう?とか、業務系とはいえ職種はSEで入社したのだから、今触っているPCとは別にサーバがあって、パッケージの本体はそこで動いていることは理解していないとまずいのでは・・・と思ったりするのだが、今から何の脈絡もなく後輩にそのあたりを説明しても、極端な話、「へー。。」で終わってしまうのではないかと思ったり。だって、現にわからなくても何とかなってしまっているのだから。

このぐじぐじした思いを、先日、大先輩にぶつけてみた。
「なぜ、後輩さんは、根っこが同じ質問を繰り返してしまうのでしょうか・・・」
すると、
「それが気になるのは、ねこたんさんが技術者だからですよ。後輩さんはそうじゃない。だから興味もないのでしょう。興味があったら聞いてくるでしょう。あまり気にしないでいいんじゃないですか」
という答えをもらった。
この回答には、賛否両論あると思うのだが、ねこたんは「そうか!興味がないからなんだ・・・」と目からウロコが落ちた気持ちだった。
本人が興味がないことを、いくら説明しても実になる訳がなかったのだ。
もちろん、「社員の成長は会社の成長につながる」という大きな視点で見れば、このことを放置しているのは問題だろうけれど、とりあえず私がここ数年悩んでいたことについては、一つの答えとなった。
根っこが同じ質問が繰り返されることの、その根本の原因がわかったのだから。

ねこたんの当面の考えとしては、また同じような質問が来たら、これまでどおり、少しの解説を加えて回答しようと思っている。後輩は、もしかしたらずっとコンピュータシステムというものの中身に興味を持たないかもしれないし、必要に迫られることがあまりないかもしれない。必要に迫られても、その場で回避できれば、やはりそのままかもしれない。
でも、後輩ももうキャリアは5年目。私がずっと気にかけている必要もないのではないか、と思ったのだ。後輩は他のスキルを中心に伸ばすべきポジションにいるのであり、もし他に必要な知識があるときは、自分で能動的に獲得していくべきレベルになっているはずなのだ。

100%正しい答えではないだろうけれど、これも社会人として現実を生きていくには、一つの答えだろうと思う。
ねこたんも、人のことばかり言っていないで、ちゃんと勉強しなければ・・・。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私も昔は「職業プログラマは全員プロフェッショナル」という幻想を抱いていた時期もありましたよ。
でも人には得意不得意もあるし、まして今みたいにひとつのプロジェクト内での守備範囲が多岐にわたる場合は、割り当てと関係ないところまで手を出すのは自殺行為ですしね。

パスワードの件に関しては「この画面のときはこのIDを使ってください」という風に具体的に教えてあげるのでいいんじゃない?
ことの是非はともかく、そういう質問が出ないように抽象的な説明はしないようにすることも仕事を進める上では必要なことだと思うしね。

ねこたん さんのコメント...

守備範囲の話、後輩についてだけでなく、私自身にもそのまま跳ね返ってくる問題だと思っています。ここ数年、プロジェクトによって管理系だったり業務系だったり開発系だったり(たまに営業支援や教育も)、その時々で異なる役割とスキルを求められるので、とりあえず何が来ても一通り対応できるように、今は範囲は広く、深さは浅からず深からずみたいな感じで勉強を進めているのが現状です。本当は、そろそろ自分の強みを見極めて、そこを重点的に伸ばしていくべきなのかもしれませんが…。

パスワードの件。「抽象的な説明」の場面は、作業前の事前説明のことでしょうか。設定ガイドを配布しただけでは、やっぱりダメですかね…。ガイドだけで完了できていることも多いので、毎回事前説明というのはなかなか難しいかもしれませんが、質問が来たときには具体的な回答を心がけようと思います。